日本の先端技術が集結!新東名高速道路を「下から」見上げてみた

日本の先端技術が集結!新東名高速道路を「下から」見上げてみた

こんにちは。ライターの田村美葉と申します。土木構造物には緻密な測量が不可欠。「たのしい土木旅行」と題して、測量技術者も素人も気になる、明日観に行けるかっこいい土木を紹介いたします。

第2回は、2012年4月に御殿場ジャンクションから三ケ日ジャンクション間が開通、今なお工事の続く「新東名高速道路」です。

渋滞の頻発する東名高速道路を多重化するため、1995年から工事の始まった新東名高速道路。御殿場ジャンクションから三ケ日ジャンクション間で総工費は2兆円を超えるビッグプロジェクトです。山間部を通るためトンネルや高い橋梁が多く、技術的にも難易度が非常に高い工事としても知られています。

そんな新東名を「下から見上げる」ことで、日本の最先端技術を知る事ができるんです。

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東名高速に比べて、カーブと坂道が緩やかで「走りやすい」のが特徴の新東名。
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山間部を通るルートのため、かなり高い橋脚や大断面のトンネルが多いです。写真は新清水ジャンクション(2012年)

日本初のストラット付きPC箱桁

新東名高速道路の多くの橋梁で採用されたのが、「ストラット付きPC箱桁」という日本初の技術です。

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これが「ストラット付きPC箱桁」。ストラットと呼ばれる、斜めの部材が両側から出ています。写真は葛山高架橋。

箱桁橋とは、その名の通り橋の内部が箱のようにくり抜かれたものですが、橋の横幅が広くなると、通常はこの「箱」を何個もつなげる「多室箱桁断面」が採用されます。

新東名高速道路の橋梁では、「箱」を真ん中の1室のみとし、ストラットという斜材で床を支えます。これによって、橋桁が軽量化され、橋脚や基礎もスリム化することが可能になりました。

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新東名の高い橋ではこのように、「ストラット」が観たい放題です。
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結構近くまで寄ってみる事ができるポイントもあります。

斜めに切って掘削量を減らす!竹割り式土留め工法

急峻な斜面にも橋脚をたくさん建てる必要のあった新東名。
掘削量を減らすための工夫もとられています。

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それがこちらの「竹割り式土留め工法」。見た目もその名の通り、巨大なかぐや姫が生まれそうな「竹割り」です。

これまでの工法では、斜面を掘削し橋脚を建てた後には大規模に人工的な斜面が作られていたのですが、この工法では元の斜面を活かす事ができるため、環境や景観を大きく変える事がないのが特徴です。

日本初の鋼・コンクリート複合アーチ橋、新富士川橋

御殿場ジャンクションから三ケ日ジャンクションの間で唯一のアーチ橋である「新富士川橋」は、日本で初めて鋼とコンクリートの複合構造が用いられました。

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こちらがその「新富士川橋」。アーチ部分と鉛直材にはざらっとしたコンクリート、桁にはつるっとした鋼材が使われています。

鋼材の特徴は軽量化が可能なこと。全てがコンクリートのアーチ橋に比べて40%の重量削減となり、コストも20%抑えられているんだそうです。

ご紹介してきた工法の数々が評価されて、新東名高速道路の橋梁たちは、「土木学会田中賞」を受賞しまくっています。上を通っているだけではなかなか気づかない「技術の粋(すい)」、一度、わざわざ下から観てみるのも、乙なものですよ。

「コミュニケーション・プラザ富士」を訪ねよう

新東名高速道路をもっと楽しみたくなった方におすすめしたいのは、新富士ICに隣接する「コミュニケーション・プラザ富士」です。

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新富士IC隣接の「コミュニケーションプラザ・富士」

ここでは、新東名がどのように作られたかの映像を観たり、工事に使われたマシンの模型や、工法の仕組みを紹介する模型をみる事ができます。ここを訪れてから実物を観に行くと、より理解が深まっていいですね。

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建設手順を紹介するジオラマも充実しています
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お、これは竹割り式土留め工法だ!

開通記念イベントがあれば、行ってみよう!

新東名高速道路では、2023年度に予定されている秦野IC〜御殿場ICの開通まで、まだ工事が続いています。

そこで注目したいのが、「開通目前」に開催されるウォーキングイベント。開通後はほぼ不可能な「高速道路を歩く」体験ができちゃう、人気のイベントです。

2019年には、新東名の「新清水ジャンクション」につながる中部横断自動車道の開通イベントがありました。その模様もちょっとレポートしておきましょう。

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ウォーキングスタート地点には、地元のゆるキャラたちが大集合
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歩けるコースはこちら。車だと、本当に「あっ」という間の区間ですが、歩けばいい運動になるぐらいの距離感です。
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おなじみの「緑の看板」も、真下から見上げるとかなり巨大です。
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すでに開通済みの新東名を見下ろしながら歩く、ちょっと不思議な気分。お、あれは「ストラット付きPC箱桁」ですねぇ
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車でここを通るときにも、ここを踏みしめた感触を思い出しそうです。
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交錯する高速道路がかっこいいですね!

ジャンクションのフォトジェニックなポイントでいくらでも立ち止まって撮影ができるのも「ウォーキング」だからこそ。「開通目前」の道路情報にはぜひアンテナを張っておいてください。