土木測量は、自然との戦いである

土木測量は、自然との戦いである

1. 測量を制すものが、現場を制す!

土木工事の建設現場に行くと、常に測量が行われています。朝一番に1回、昼前に1回、作業終わりに1回・・・。もっとたくさんやることもしばしば。なぜこんなにも測量が行われているのか、疑問に思う方も少なくないでしょう。

もちろん「ここに橋脚をつくるから、その位置を出そう」や「ここに足場が必要だから、その位置を出そう」等、構造物をつくっていく過程で必要な測量もたくさんあります。
しかしこんなにも測量を重ねなければならない理由は、他にあります。その理由とは・・・

チェック測量をしているからなのです。チェック測量・・・。なんのチェックなのか?

それは対象としている構造物が、

  1. 動いているか or いないか
  2. 動いているのなら、どのくらい動いているか
  3. 変な動き方をしていないか

をチェックしているのです。その詳細は次項以降で説明しますが、とにかく現場は測量から始まり、測量に終わります。「測量を制すものが、現場を制す」と言っても過言ではないでしょう。

2. すべての構造物は動いているのだ!

山の神は怒らせてはいけない…
山の神は怒らせてはいけない…

例えば、山を切り開くトンネルの建設現場を想像しましょう。

山岳を切り開くトンネルは、内部をコンクリートや鋼材で固めながら山を掘り進めていきます(これを「NATM 工法と呼びます」)。実はコンクリートで固めていたとしても、山は少なからず動いているのです。

我々が掘ったトンネルを塞ごうとするように挙動を示します。山の動きがあまりに大きいと、内部のコンクリートがひび割れてしまったり、漏水してしまったりと、不具合を起こし兼ねません。最悪崩落の危険性もあります。工事の安全にもつながるため、チェック測量で山の挙動を調査することは、現場では大変重要なのです。

張出し架設工法(やじろべえ工法)
張出し架設工法(やじろべえ工法)

同じことは、橋の建設現場でもいえます。橋はおもに鋼材とコンクリートでつくられます。特にコンクリートを主部材としてつくる大型の橋の場合、橋脚からやじろべえのように伸ばしてつくることがあります。これを「張出し架設工法」と呼びます。

ちなみにコンクリートも鋼材も、機械的な性質はゴムと一緒です。これを「弾性体」と呼びます。物理がお好きな方はフックの法則という言葉をご存じかと思いますが、ゴムは力を加えると加えると変形しますよね。橋も一緒です。自重や交通荷重、風でたわみます。

張出し架設工法により橋の建設が進んでいくと、やじろべえ形状が長くなり、たわみやすくなります。このたわみが想定の範囲内であるかどうか、それをチェックする手法が他でもない「測量」なのです。

夏の橋はたわみやすい・冬の橋はたわみにくい
夏の橋はたわみやすい・冬の橋はたわみにくい

たわみかたは作用する荷重によっても違いますが、建設する場所の環境によっても作用されます。たとえば、夏の暑い日はコンクリートも柔らかくなり、たわみが大きくなります。逆に冬は、コンクリートもかたいのでたわみは小さくなります。

まとめ

以上のように、普段はその場にドンと構えているように思えるトンネルや橋ですが、実は自然の作用を受けて少なからず動いているのです。もちろんこれらの挙動はある程度設計で考慮されているものなのですが、実際に現場でつくりあげたものが設計通りつくられて、設計通りの荷重を受けているかどうか。それをチェックする測量は、地味ながらもとても重要なでかつ、「自然」と戦う厳しい作業なのです。

ですからもしも皆さんが建設現場で測量している人を見かけたら、「お疲れ様です」と一言、労いの言葉をかけてあげてください。その言葉はきっと、いいモノづくりつながることでしょう。